こんにちは!
KEN(@nomilenolife)です。
本ブログでは、受験や進学に関する情報および人生に付加価値を与えるような情報を、「受験・+More」というカテゴリーの記事でご紹介しています。
北大時代の知人には、北野や豊中・天王寺など大阪の公立進学校出身の人が多数いました。
知人らに話を聞くと、大阪の公立進学校には「文理学科」という進学に力を入れた学科があることを知りました。
本記事では、文理学科設置校の「2022年の難関国立大学の合格実績」について考察していきます。
本記事でご紹介する合格者数については、以下の情報を参考としています。
文理学科の倍率・偏差値
大阪府内で文理学科が設置されている公立高校は、以下の10校です。
・北野高校
・豊中高校
・茨木高校
・大手前高校
・四條畷高校
・高津高校
・天王寺高校
・生野高校
・三国丘高校
・岸和田高校
いずれも大阪府内では長い歴史と伝統を持つ高校ばかりで、各界に著名な卒業生を輩出しています。
参考までに、2022年3月実施の高校入試における文理学科設置校の倍率と、2021年度の偏差値を高い順にご紹介します。
倍率
学校 | 倍率 |
豊中 | 1.61 |
高津 | 1.58 |
三国丘 | 1.44 |
茨木 | 1.43 |
生野 | 1.41 |
四條畷 | 1.37 |
北野 | 1.35 |
大手前 | 1.29 |
岸和田 | 1.15 |
天王寺 | 1.13 |
偏差値
偏差値 | 学校 |
75 | 北野 |
74 | |
73 | 天王寺 |
72 | 茨木 |
三国丘 | |
大手前 | |
71 | |
70 | |
69 | 高津 |
四條畷 | |
豊中 | |
68 | 岸和田 |
67 | 生野 |
(リセマム・大阪府 高校偏差値一覧 2021年度 公立校より)
このように、大阪府内を代表する公立高校として、どの学校も高い競争率や難易度となっています。
難関国立大学合格実績
まず、2022年大学入試における文理学科設置校の難関国立大学合格実績をご紹介します。

東大 | 京大 | 阪大 | 神戸大 | 他帝大 | 一工 | |
北野 | 14 | 91 | 64 | 31 | 10 | 1 |
天王寺 | 2 | 54 | 50 | 50 | 18 | 5 |
三国丘 | 1 | 19 | 71 | 31 | 11 | 2 |
茨木 | 2 | 23 | 64 | 37 | 7 | 0 |
大手前 | 1 | 10 | 55 | 27 | 1 | 0 |
四條畷 | 0 | 6 | 41 | 35 | 9 | 0 |
豊中 | 0 | 3 | 39 | 35 | 6 | 0 |
高津 | 0 | 7 | 34 | 27 | 3 | 0 |
生野 | 0 | 5 | 11 | 22 | 5 | 0 |
岸和田 | 0 | 2 | 16 | 13 | 2 | 0 |
北野高校が難関国立大学に200名を超える圧倒的な合格実績をあげました。
一方、生野高校や岸和田高校の難関国立大学への合格実績は、50名を下回る結果となりました。
次に、文理学科設置校全体の難関国立大学合格実績を、過去3ヵ年(2020年から2022年)で比較してみましょう。
東大 | 京大 | 阪大 | 神戸大 | 北大 | 東北大 | 名大 | 九大 | 一橋大 | 東工大 | 総計 | |
2020 | 23 | 266 | 435 | 313 | 42 | 12 | 13 | 16 | 8 | 6 | 1134 |
2021 | 23 | 261 | 423 | 272 | 41 | 12 | 15 | 23 | 6 | 4 | 1080 |
2022 | 20 | 220 | 445 | 308 | 23 | 14 | 12 | 23 | 4 | 4 | 1073 |
合格者数の総数を見ると、2020年から年々減少~横ばい傾向にあることがわかります。
また、2022年の難関国立大学合格者数に基づく文理学科の順位は、以下の通りです。
①北野高校
②天王寺高校
③三国丘高校
④茨木高校
⑤大手前高校
⑥四條畷高校
⑦豊中高校
⑧高津高校
⑨生野高校
⑩岸和田高校
2021年と比べて、三国丘高校と四條畷高校の合格実績が好調でした。
その一方、茨木高校や豊中高校は2021年より合格実績を落とす結果となりました。

合格実績が伸び悩んでいる理由
なぜ、ここ数年文理学科設置校の合格実績が伸び悩んでいるのか、2つの観点から考察します。
共通テストの難化による平均点の下降
1つ目は、共通テストの難化による平均点の下降です。
2022年1月に実施された共通テストは、問題の傾向が変わり、数学などで平均点が大幅に下降しました。
その結果、学部・学科にもよりますが、大阪大学や神戸大学などで共通テストのボーダー得点率が70~75%ほどになるバグが発生しました。
共通テストで差がつかない年は、各大学が個別に問題を出題する2次試験での勝負となります。
2次試験では「論理的に記述する力や柔軟な発想力」が問われるため、中高一貫校などの受験生が有利になった可能性が考えられます。
優秀な受験生の奪い合いになっている
2つ目は、優秀な受験生の奪い合いになっているです。
大阪府の高校入試では、2013年まで「学区制」が導入されていました。
現在は府内全域から好きな高校を受験できるようになった結果、北野高校や天王寺高校に最上位層が集中しています。
無論、教育成果の充実により、文理学科設置校全体で合格実績が底上げされれば、全体の合格者数は増えるはずです。
しかし、直近と比較しても合格実績が伸びている状況ではないことから、学校間で優秀な受験生の奪い合いとなっており、その結果が各高校の合格実績に反映されていると考えられます。
文理学科の偏差値と大学合格者数の関係
最後に、文理学科の偏差値と大学合格者数の関係を見ていきましょう。

【京都大学】
散布図の決定係数は0.70と、2021年に比べ偏差値と合格者数の相関は弱まった。
しかし、相関係数の値は依然として高いことから、京都大学に合格できる学力層の多くは北野・天王寺など最上位校に偏在していると考える。
【大阪大学】
散布図の決定係数は0.76と、2021年に比べ偏差値と合格者数の相関が強まった。
このことから、大阪大学に合格できる学力層は文理学科設置校に一定数いるものの、合格者数は各高校の偏差値と比例する傾向にあると考える。
【神戸大学】
散布図の決定係数は0.29で、京大・阪大より偏差値と合格者数の相関はなかった。
これは、偏差値が最も高い北野高校では神戸大学より上の大学を目指す傾向にあるため、偏差値に対しての合格者数が少なくなるためと考える。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、大阪の文理学科設置校について、2022年大学入試の合格者数を基に考察してきました。
その結果、2022年は共通テストの難化の影響を受けたのか、全体として合格実績は伸び悩んだことがわかりました。
どの高校に進学したとしても、本人の努力次第で大学入試の結果はひっくり返すことができます。
岸和田高校から大阪大学へ進学
茨木高校から関関同立へ進学
また、厳しい大学入試を突破しても、その後勉強しなければ数年後には人間の頭脳は衰退していきます。
そのため、偏差値の高低に惑わされず、「自身にとって興味をもって学び続けることができる学問分野や学習環境を選ぶこと」が重要ではないでしょうか。
来年以降、合格実績を復調させていくのか、はたまた伸び悩むのか注目ですね!