こんにちは!
KEN(@nomilenolife)です。
本ブログでは、新幹線や旅客機、特急列車といった都市間輸送をはじめ、地下鉄やバスなど公共交通に関する情報を、「都市・交通」といカテゴリーの記事でご紹介しています。
日本の高速鉄道網は、2020年時点で以下の開業が今後予想されています。
2023年:北陸新幹線「金沢-敦賀間」
2027年:リニア新幹線「品川-名古屋間」
2030年頃:北海道新幹線「新函館北斗-札幌間」
北海道新幹線が札幌まで開業すると、東京から札幌までが新幹線で結ばれることになります。
しかし、新幹線と飛行機には4時間の壁が存在し、所要時間が4時間より長い・短いで両者のシェアが逆転する傾向にあると言われています。
果たして北海道新幹線は、日本屈指のドル箱航空路線である「東京(羽田・成田)-札幌(新千歳)」を相手に、どこまでシェアを奪えるのでしょうか。
本記事では、「東京-札幌間の交通移動」が新幹線の延伸開業により今後どうなるのかを、所要時間の課題や飛行機の利便性といった観点から考察していきたいと思います。
東京-札幌間の鉄道移動について
北海道新幹線が開業する前は、以下の夜行列車が本州と札幌を結んでいました。
・北斗星(札幌-上野)
・カシオペア(札幌-上野)
・トワイライトエクスプレス(札幌-大阪)
・はまなす(札幌-青森)

しかし、これらの列車は車両の老朽化や、1987年に分割民営化されたJR各社が会社間の乗り入れを嫌がることなどを受け、次第に廃止されてしまいました。
その結果、現在は東京と北海道を鉄道で移動しようとすると、昼間移動に限られてしまいます。
東京-札幌間の鉄道利用時の所要時間は以下の通りです。
・札幌-新函館北斗(特急列車:約3時間30分)
・新函館北斗-東京(新幹線:約4時間)
うまく乗り継ぎができても、7~8時間かかってしまうため、よほど飛行機移動が苦手な人とかではない限り、あまり現実的な移動手段ではありません。
また、北海道新幹線が札幌まで延伸開業しても、東京-札幌間の所要時間は5時間ほどかかってしまうため、グランクラスにでも乗らない限りしんどいのではないでしょうか。
実は、この所要時間を短くしづらい理由が2つ存在します。
整備新幹線の速度規制
1つ目の理由は、整備新幹線の速度規制です。
整備新幹線とは「全国新幹線鉄道整備法」という法律に則り、建設費を抑制するために最高速度が時速260キロで設計されている新幹線のことです。
日本国内だと、九州新幹線や北陸新幹線などが該当します。
東京-札幌間のうち、東北新幹線の東京-盛岡間まではフル規格のため時速300キロ以上での高速走行が可能ですが、盛岡以北は整備新幹線となるため、最高速度は時速260キロと遅くなります。
北陸新幹線であれば、時速260キロでも東京―富山・金沢間を飛行機に優位な時間で結ぶことができるため、それ以上速度を高速化させる必要もありませんでした。
しかし、東京-札幌間の距離は段違いに離れているため、そういうわけにはいかない現状があります。
その結果、所要時間をなかなか短縮できない状況が発生してしまっているのです。
青函トンネル内の速度規制
2つ目の理由は、青函トンネル内の速度規制です。
北海道は日本の食糧基地であることから、様々な物資が本州へと輸送されています。
そのときに重要な役割を担うのが、JR貨物の貨物列車です。
貨物列車は青函トンネルを抜けることで、翌朝の築地市場での競りの時間に間に合うように輸送しています。
そのため、青函トンネル内を抜ける際にはどうしても新幹線の走行時間帯と重なってしまいます。
しかし、青函トンネル内を貨物列車と時速260キロで新幹線がすれ違うと、貨物列車は新幹線の風圧によって脱線してしまうリスクが存在します。
青函トンネル内の走行環境を貨物列車と併用するために、安全性の観点から青函トンネルの制限速度は時速160キロに設定されています。
東京-札幌間の航空需要
次に、飛行機による移動について見ていきます。
東京-札幌間は、15~30分間隔で大手からLCCまで数多くの飛行機が飛んでいます。
・ANA
・JAL
・エアドゥ
・スカイマーク
・ジェットスター
東京-札幌間は、航空需要においても国内屈指の輸送量を誇り、世界的にもかなりの便数が飛んでいる路線になります。
北海道新幹線が札幌まで延伸すると、多少便数は減るかもしれませんが、JRの運賃は「旅客営業規則」でキロ数に応じて設定されているため、片道2~3万円はすると予想されます。
一方、飛行機は空席状況や購入時期によってはかなり割安で購入することができます。
そのため、今後も長らく飛行機が優位な状況が続くのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、「東京-札幌間の交通移動」が新幹線の延伸開業により今後どうなるのかを、所要時間の課題や飛行機の利便性といった観点から考察してきました。
東京-札幌間は長らく航空会社の独壇場とされてきましたが、2030年にはどうなっていることでしょう。
新幹線が健闘して、航空会社の地位を揺らがせるのか。はたまた、飛行機が王者として君臨し続けるのか。
今後も、両者の争いから目が離せないですね。
また、新幹線の開業を見据えて、札幌駅前には50階建ての複合ビルの建設が予定されており、ますます札幌中心部の顔ぶれが変わっていきそうです。