こんにちは!
KEN(@nomilenolife)です。
本ブログでは、鉄道・航空などの公共交通や、移動が快適になるサービスに関する情報などを、「旅行・出張」というカテゴリーの記事でご紹介しています。
我々の日常生活において、山手線や大阪環状線といった都市圏の近距離輸送というのはとても身近な存在です。
そんな近距離輸送において、昭和の時代から今なお現役で半世紀近い年月を走り続けている「103系電車」というものがあります。
本記事では、この「103系電車」についてご紹介していきたいと思います。
103系電車とは?
時代の流れで、このように思う方もいらっしゃるかもしれません。
103系電車とは、日本国有鉄道(国鉄)が設計・製造した直流通勤形電車のことです。
103系を製造するころ、当時の国鉄では財政・設備・保守などの各事情を考慮し、経済性が最重視されました。
その結果、均一性と大量生産に重きが置かれ、1963年(昭和38年)から1984年(昭和59年)までの約20年のあいだに3,447両が製造され、日本の高度成長期の大量輸送を支えてきました。
そんな103系は東北から九州まで活躍の範囲を拡大し、大都市部では路線によって主に5色のカラーで塗装されていました。
各カラーを見ることができた具体的な路線一覧は以下の通りです。
カラー | 首都圏 | 関西圏 |
ウグイス | 山手線・横浜線など | 奈良線など |
スカイブルー | 京浜東北線・京葉線など | 阪和線・和田岬線など |
オレンジ | 中央線・武蔵野線など | 大阪環状線 |
カナリア | 総武線・鶴見線など | 福知山線 |
エメラルドグリーン | 常磐線・成田線 | 加古川線 |
地方塗装 | 仙石線 | 山陽本線・播但線など |

103系電車の最新動向
103系電車は、博物館や一部の路線で見ることができます。
例えば京都・梅小路にある京都鉄道博物館には、大阪環状線で活躍したオレンジ色の103系電車が保存されています。

そのほか、2019年12月現在「現役で走行する103系電車」を見ることができる主な路線は以下の通りです。
【JR西日本】
・奈良線
・和田岬線
・加古川線
・播但線
【JR九州】
・筑肥線
残念ながら、JR東日本では2006年頃までに首都圏からはすべて引退し、廃車・譲渡されたため、その姿を見ることはできません。
一方、JR西日本では首都圏から103系電車が消滅した2000年代以降も、延命工事や体質改善といったリニューアルを行うことで、600~700両の車両が現役で通勤輸送を担っていました。
しかし、2010年代に入ると老朽化や新車導入の波が訪れ、関西圏でも廃車が進んでいきました。
長らく103系電車が地域の顔として根付いていた大阪環状線からも、2017年10月に姿を消しています。
全盛期には3,500両近く製造された103系電車ですが、今は全国でわずか60両程度が残るくらいです。
上記の路線からも、いつ引退してもおかしくないので興味のある方は早めに行かれることをおすすめします!
地域によって廃車・現役が異なる理由
これは主に、JR各社の方針の違いや現存する車両・乗務員などの都合が大きいです。
【JR東日本】
大量輸送や通勤ラッシュのキャパシティを上げるために、車両を10~20年間隔でどんどん新しい形式へ更新する。
【JR西日本】
延命工事などを施工することで、一つの車両を30~40年かけて長く使用する。
このような違いの結果、JR西日本の中国・山陰エリアなどでは113系やキハ40など国鉄時代の車両が今なお現役で活躍しています。
ここで厄介なのが、車両形式による制御システムの違いです。
【国鉄時代の車両】
ブレーキなどの制御系統が複雑なため、職人技のような運転技術が求められる。
【JR発足後に新造された新型車両】
自動制御システムや最新の技術が導入されているため、一定の運転技術さえあれば比較的容易に運転することができる。
JR西日本では両者の車両形式が混在しているため、乗務員にはどちらの形式にも対応できるよう訓練・教育する必要があります。
そのため、研修などでも国鉄型車両を使用することから、国鉄時代の車両をすぐにJRの最新型へ置き換えることが難しい事情があります。
そして、いずれは自動化により無人運転などが進んでいくことが予想されるため、乗務員がいるという光景もやがて過去のものになるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、昭和の時代から今なお現役で半世紀近い年月を走り続けている「103系電車」についてご紹介してきました。
すでに大宮や京都の鉄道博物館には103系電車が展示されている一方、一部の路線ではまだ現役で活躍する姿を見ることができるため、なんだか不思議な感じがしますよね。
しかし、活躍の期間はそう長くはないでしょうから、日本の歴史や国鉄時代の名残を知りたい方は、早めの行動をおすすめします。
今後は人口も減少し、通勤ラッシュの大量輸送といった光景も過去のものになりゆくことでしょう。
これからも、鉄道がどのように時代の変化に順応していくのか、ユーザーの視点で見守っていきたいと思います。